SF (Science Fiction) とは科学的な空想に基づいたフィクションの総称で、様々な小説作品や映画が作られてきました。
近年では、アニメや漫画の世界でもSF作品が多く登場するようになりました。今回の記事では、数多く存在するSFの代表作をサブジャンルに分類して紹介していきます。
目次
時間SF (Time-Travel Narrative)
最初に紹介するSFのサブジャンルは、比較的わかりやすいジャンルでもある「時間SF (Time-Travel Narrative)」です。
『リップ・ヴァン・ウィンクル』ワシントン・アーヴィング
「時間SF」とは、名前の通り自覚を超えて旅をする作品群です。古くはワシントン・アーヴィング (Washington Irving) の『リップ・ヴァン・ウィンクル』 (Rip van Winkle) という作品があります。この作品はアメリカ版の『浦島太郎』とも言われています。
『タイム・マシン』 H.G.ウェルズ
このジャンルの古典的代表作としては、 H.G.ウェルズ (H.G.Wells) 作『タイム・マシン』 (The Time Machine) (1895) があります。この作品は僕が小さい頃に、読書感想文の本として読んでSFの世界にハマったきっかけにもなりました。
『ターミネーター』
映画作品としては、僕の大好きな『ターミネーター』 (Terminator) シリーズや、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 (Back to the Future ) などが挙げられます。
ターミネーターシリーズは世界全体の歴史をタイムトラベルによって改変しようという物語です。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
それに対して、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は個人の未来や過去に干渉する話になっており、ターミネーターシリーズとは違いがみられます。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は僕の1番好きな映画です。デロリアンの模型やBlu-rayなど色々なグッズを買い集めています。
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侵略SF (The Alien Invasion Narrative)
続いて紹介するジャンルは宇宙人の侵略を描いた侵略SF (The Alien Invasion Narrative)です。
『宇宙戦争』H.G.ウェルズ
侵略SFとは、地球が宇宙人の侵略を受ける物語群のことを指します。先に挙げた作家であるH.G.ウェルズの『宇宙戦争』 (The War of the World) がはじまりとされています。
1950年代の冷戦時代に、旧ソ連の核攻撃の恐怖と宇宙からの侵略者のイメージが重ね合わされて、多く作品が執筆されました。
『盗まれた街』ジャック・フィニイ
宇宙人の地球への攻撃だけでなく、人間の中に紛れ込む地球外生命体のエピソードであるジャック・フィニイ (Jack Finney) の小説『盗まれた街』 (The Body Snatchers) は多くの読者を獲得し、『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』 (Invasion of the Body Snatchers) というタイトルで映画化もされました。
『メン・イン・ブラック』
こうしたジャンルにコメディ的要素を取り入れてヒットしたのが、映画『メン・イン・ブラック』 (Man in Black) です。僕の大好きな映画の1つで、SF映画をあまり観ない人でも楽しめる作品です。
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『幼年期の終り』アーサー・C・クラーク
宇宙からの来訪者は必ずしも悪役ばかりではなく、友好的で地球人に進歩をもたらす者たちも登場しました。
その代表作としてアーサー・C・クラーク (Arthur C. Clarke) の『幼年期の終り』 (Childhood’s End) (1953) が挙げられます。
『未知との遭遇』
スティーブン・スピルバーグ (Steven Spielberg) の『未知との遭遇』 (Close Encounters of Third Kind) (1977) や『E. T.』などはこうした友好的な宇宙人という発想に基づいた作品です。
スペースオペラ (The Space Opera)
スペースオペラ (The Space Opera) とは、宇宙空間で繰り広げられる騎士道物語的な宇宙活劇を描いた作品群のことを指します。
『フラッシュ・ゴードン』
1930年代に、遠い宇宙での冒険を描いた作品が、大衆雑誌などを中心に多く発表されました。後に映画化された『フラッシュ・ゴードン』 (Flash Gordon) などはこうしたジャンルの代表作です。
『暗黒星雲のかなたに』アイザック・アシモフ
1940年代に “The Space Opera” と呼ばれるようになり、アイザック・アシモフ (Isaac Asimov) の『暗黒星雲のかなたに』(The Stars, Like Dust) (1951) が生みだされました。
『宇宙の戦士』ロバート・A・ハインライン
その他にも、ロバート・A・ハインライン (Robert A. Heinlein) の『宇宙の戦士』 (Starship Troopers) (1959) などが出版されました。
『宇宙の戦士』 は『スターシップ・トゥルーパーズ』という邦題で映画化もされました。
『スタートレック』
1960年代になると、ジーン・ロッデンベリー (Gene Roddenberry) のTVシリーズ『スタートレック』 (Star Trek) が大ヒットとなり、次々に続編が作られました。
『スター・ウォーズ』
スペースオペラの最も有名な作品としてはジョージ・ルーカス (George Lucas) の『スター・ウォーズ』 (STAR WARS) (1997) は外せません。空前のスペースオペラブームを巻き起こし、全体で9つのエピソードからなる構想が順次映画化されています。
破滅SF (Apocalyptic and Post-apocalyptic Fiction)
破滅SFとは、大規模な戦争、自然災害、爆発的に流行する疫病などの巨大な災害や、何らかの超越的な事象によって文明や人類が死に絶える様を描くジャンルが “Apocalyptic Fiction” です。
あるいは文明が死に絶えた後の世界を描くもの表す場合は “Post-apocalyptic Fiction” とも呼ばれます。
『最後の人間』メアリー・シェリー
科学技術が現代ほど発達していなかった時代に書かれた作品としては、『フランケンシュタイン』の著者としても有名なメアリー・シェリー (Mary Shelley)の著作『最後の人間』 (The Last Man) があります。
作品の中でシェリーは、死に至る疫病が蔓延し、人類が絶滅していく様を描いています。
『アイ・アム・レジェンド』リチャード・マシスン
1945年に広島と長崎に原爆が投下されてからは、人類の滅亡が核兵器とともに描かれるようになる傾向が強くなりました。核戦争で破壊された世界を描いた “Post-apocalyptic Fiction” では荒廃した世界に生きる人々が描かれます。
リチャード・マシスン (Richard Matheson) の小説『アイ・アム・レジェンド』 (I Am Legend) では、核戦争によって特殊なバクテリアが増殖し、それに感染した人間が吸血鬼になるという設定です。
ウィル・スミス主演で映画化されましたが、小説の展開とは異なった結末が描かれています。映画版は「Amazonプライムビデオ」で見放題なので、小説と映画の違いを比べるのもおすすめです。
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『猿の惑星』 ピエール・ブール
ピエール・ブール (Pierre Boulle) の『猿の惑星』(Planet of the Apes) (1963) では、核戦争の後、人類が野生化し、代わって猿が進化して文明を造った世界が描かれています。
何度も映画化されている有名な作品ですが、ピエール・ブール自身のWWⅡで日本軍の戦争捕虜になった経験から劇中の猿は日本人をモデルにしているとも言われています。
『マッドマックス』
最近の映画の中では、『マッドマックス』 (Mad Max) (1979) も破滅SFのジャンルに含まれる名作映画です。
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ディストピアSF (Dystopian Science Fiction)
ユートピアとは、現実世界の問題点が解決された理想的な社会のことを指します。それに対してディストピアとは 、その全く逆、つまり人間の思い描く悪夢の世界のことです。
ディストピア世界では、人間の幸福欲求の夢は破壊され、耐え難い閉塞感によって人間性を阻害されます。ユートピアとは真逆の世界ということになります。
『すばらしい新世界』オルダス・ハクスリー
オルダス・ハクスリー (Aldous Huxley) の『すばらしい新世界』 (Brave New World ) (1932) では、人間は培養ビンの中で「製造」され「選別」され、すべてが管理された完全主義社会を描いています。
『1984年』ジョージ・オーウェル
『すばらしい新世界』とともにアンチ・ユートピア小説の傑作と言われている作品がジョージ・オーウェル (George Orwell) の『1984年』 (Nineteen Eighty-Four) です。
オーウェルは完全主義社会の中で人間性が剥奪されていく様を見事に描いています。このジャンルの作品であればこの2冊は最低限押さえておきたいところです。
『時計じかけのオレンジ』
非行少年を人工的な治療によって矯正しようとする物語を綴ったアンソニー・バージェス (Anthony Burgess) による小説『時計じかけのオレンジ』 (A CLOCKWORK ORANGE)、またこうしたディストピア小説のジャンルに属します。
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フェミニズムSF (Feminism Science Fiction)
SFは男性の作家が書き、読者も男性であることが多いと言われます。その結果として、男性中心主義になりがちで、女性は受身的な役割を演じることが多くなります。
しかし、1960年代から70年代に巻き起こった女性権運動の影響を受けて、SF小説を執筆する女性作家が増えました。このジャンルでは、セクシャリティやジェンダーの問題を追求し、伝統的な女性という枠組みを問い直すという特徴があります。
『闇の左手』アーシュラ・K・ル=グウィン
アーシュラ・K・ル=グウィン (Ursula K. Le Guin) の『闇の左手』 (The Left Hand of Darkness) という小説はその代表作です。
男女両性を有する異星人の星を舞台に、ひと月ごとに体内ホルモンの影響で男女の性が入れ替わるという生殖形態を描いています。性そのもののあり方を問いかける新しい形のSF作品であるといえます。
『エイリアン』『ターミネーター2』『マトリックス』
また、近年では映画の中でも女性を主人公とする作品が増えています。代表的なものでは『エイリアン』 (Alien) (1979) のリプリー、『ターミネーター2』 (Terminator 2: Judgment Day) (1991) のサラ・コナー、『マトリックス』 (The Matrix) (1999) のトリニティーなど魅力的で強い女性キャラクターが描かれています。
更に、ゲイやレズビアンのテーマを描いたSF作品も登場し、ジェンダーのテーマをジャンルの中に吸収したような作品も増えてきています。
『ターミネーター2』の映画批評記事はこちら▼
サイバーパンク (Cyberpunk Science Fiction)
続いて紹介するのは人間とテクノロジーの関係を追求したSFのサブジャンルであるサイバーパンク (Cyberpunk Science Fiction) です。この分野では、人工知能 (AI) 、サイボーグ、ロボットなどを題材に、こうしたテクノロジーが人間的な感情を持ち得るのかを問いかけた作品が多く執筆されました。
「サイバーパンク」という名称は、ブルース・ベスク (Bruce Bethke) が自らの短編小説の題名にしたことがはじまりであり、その後、ウィリアム・ギブスン (William Gibson) 、ブルース・スターリング (Michael Bruce Sterling) 、パット・カディガン (Pat Cadigan) 、グレッグ・ベア (Greg Bear) らの作品を総称してこの名前で呼ばれるようになりました。
根源的な意味での「人間とは何か?」を問いかけるとともに、人間とテクノロジーの融合が避けがたくなった未来社会において「両者の存在は存在するのか?」ということが重要なテーマとされます。
『2001年宇宙の旅』アーサー・C・クラーク
アーサー・C・クラーク (Arthur C. Clarke) によって創作された『2001年宇宙の旅』 (2001: A Space Odyssey) はこうしたジャンルの先駆けとして近年最注目されています。
映画版ではスタンリー・キューブリック (Stanley Kubrick) が監督を務め、今でも解釈に謎の残る独特の世界観を持つ映画となっています。
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『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』フィリップ・K・ディック
フィリップ・K・ディック (Philip K. Dick) の小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 (Do Androids Dream of Electric Sheep?) もサイバーパンクを語る上で外せない作品の1つです。
『ブレードランナー』
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』は、『ブレードランナー』 (Blade Runner) (1982) のタイトルで映画化もされ、SF映画の金字塔として後の映画、漫画、アニメに多大な影響を与えました。
先日、『ブレードランナー』の35年ぶりの新作を映画館で観てきました。詳しくはこちらの記事をどうぞ▼
『ニューロマンサー』ウィリアム・ギブスン
サイバーパンクの重要作家として注目を集めているのがウィリアム・ギブスンです。彼の三部作『ニューロマンサー』 (Neuromancer) (1984) 、『カウント・ゼロ』 (Count Zero) (1986) 、『モナリザ・オーヴァドライヴ』 (Mona Lisa Overdrive) (1988) は、このジャンルの作品として高く評価されています。
『ガラテイア2.2』リチャード パワーズ
近年では、リチャード パワーズ (Richard Powers) の『ガラテイア2.2』 (Galatea 2.2) (1995) において、『マイ・フェア・レディ』の原作でもある演劇『ピグマリオン』(Pygmalion) のテーマを人工知能に置き換えて話題を呼びました。
『ロボコップ』『A.I.』『アイ,ロボット』
その他にも、多くの映画作品も作られています。『ロボコップ』 (RoboCop) (1987)、『A.I.』 (A.I. Artificial Intelligence) (2001) 、『アイ,ロボット』 (I, Robot) (2004) などはこうしたテーマを追求した作品として有名です。
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多文化共生SF (Multicultural Science Fiction)
1950年代、60年代のSFでは、白人男性が主人公の作品がほとんどでした。しかし、人種や民族の違いや異文化との対立・交流の問題もSF作品に取り込まれつつあります。
多文化共生SF (Multicultural Science Fiction) において人種問題は、ロボットや地球外生命体など新たな「他者」に置き換えられて描かれることが多いです。
『パラダイス -楽園と呼ばれた星』『キリンヤガ』マイク・レズニック
マイク・レズニック (Mike Resnick) の『パラダイス -楽園と呼ばれた星』 (Paradise – A Chronicle of a Distant World) (1989年) および『キリンヤガ』 (Kirinyaga) (1988年) は、西洋によるアフリカ大陸植民地化の歴史を、他の惑星の植民地化計画に重ね合わせて書かれた問題作です。
『第9地区』
『スタートレック』
まとめ
時間SF (Time-Travel Narrative)
侵略SF (The Alien Invasion Narrative)
『宇宙戦争』
スペースオペラ (The Space Opera)
破滅SF (Apocalyptic and Post-apocalyptic Fiction)
『最後のひとり』
ディストピアSF (Dystopian Science Fiction)
『すばらしい新世界』
フェミニズムSF (Feminism Science Fiction)
『闇の左手』
サイバーパンク (Cyberpunk Science Fiction)
多文化共生SF (Multicultural Science Fiction)
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素晴らしい記事ですね!!
分かりやすすぎて感動しました!!
SF作品を読んだり見たりするときの参考にさせていただきます!!
コメントありがとうございます。そのように言っていただけて嬉しいです!面白い作品ばかりですので是非読んでみてください。
パラダイスとキリンヤガは、アイヴォリーを加えてレズニックのアフリカ三部作と呼ばれていました