なぜインターネット投票が解禁されないのか、ということに疑問を感じませんか。もし、スマホでポチッと投票することができたら若者の投票率も上がるでしょう。
しかし、インターネット投票を解禁することができない大きな理由があります。今回の記事では、こうしたインターネット投票の問題について解説していきます。
目次
理由は色々思いつくが
家にいながらスマホやパソコンで選挙の投票ができたら非常に便利ですよね。若者の投票率は間違いなく上がるでしょう。2017年の衆議院選挙の投票率は、台風の影響もあり、投票率53.6%で戦後2番目に低い水準になりました。
また、スマホなどを持っていない、使い方がわからないお年寄りなどは投票所に直接足を運んでもらうのが理想です。
そのインターネット投票が実現できない理由については、僕は漠然となりすましや不正アクセスをしての投票結果の操作などが行われる可能性があるからだと考えていました。
しかしながら、金融機関の重要な取引さえネットで行われている現状を考えると、このセキュリティ面での問題は解決できるはずです。
他にも、政治家が若者向けの政策を考えたくないからなどという陰謀論的な説もネットでは言われていますが、最も大きな理由はなりすましや政治家からの圧力などではなく、「秘密投票」の権利を守るということです。
本当の理由は「秘密投票主義の維持」
インターネット投票の最大のハードルなるのは、実はなりすましなどではなくこの「秘密投票主義の維持」です。秘密投票とは誰がどの候補者に投票したのかわからないことです。
公職選挙法第46条第4項には「投票用紙には、選挙人の氏名を記載してはならない」とされていて、誰がどの候補者に投票したのかはわかりません。
しかし、インターネット投票が解禁されると、どこぞの社長や団体のお偉いさんが
「キミたちはこの候補者に投票してね。さもないと、ボーナスや昇格はどうなるだろうねえ。今日の18時に会議室にスマホ持って集合ね。」
と言って、ひいきにしている候補者への投票を強要することができてしまいます。
現在の投票方法なら、投票用紙に名前を書く瞬間、それを見ている人間は誰もいませんので、最終的に誰に投票したかをチェックすることは不可能です。お偉いさんの言うとおりに投票するふりをして、自分の意思で投票先を変えることが可能です。
インターネット選挙の場合は、お偉いさんの目の前で投票をすることになるので、「秘密投票主義の維持」が難しくなります。
この「秘密投票主義の維持」がなければ、政治は金や権力の力にいとも簡単に操られてしまいます。
海外の小国エストニアでは実施されている
バルチック海沿岸の小国エストニアで先週実施された地方議会選挙で、恐らく世界初となる、全国規模でのインターネット投票が導入されたという話があります。しかし、実際にインターネット経由で投票された票数は全体のわずか1%でした。
エストニアの電子政府化は大変進んでいるようで、電子政府化全般も電子投票も中々普及しない日本とは大変対照的な印象です。
エストニアでは、国民はICチップ入りのIDカードを所持しており、これを利用して自宅や職場、ネットカフェのパソコンからインターネットで投票ができます。
すでに2005年の地方選挙、07年の総選挙で採用されたということですが、やはり夫による妻への、あるいは職場の上司から部下への投票の強要のおそれがあることが問題として挙げられています。
ちなみに、エストニアの人口は131.6万 (2016年) ですので、日本とは規模が違いすぎることは覚えておいたほうが良さそうです。
将来的にも日本でインターネット投票の実現は難しいか
現在のテクノロジーインフラでは、「秘密投票主義の維持」することが不可能に近いです。やはり、古典的な投票の方法が一番不正を行いにくいことは事実です。
仮に周りに人がいたら投票できない機器を開発したとしても、遠隔でビデオを使って支持するなどいくらでも手はあります。機器自体の改造も考えられます。
おそらく、欧米諸国がインターネット投票を採用し始めても、その並が日本までくるのにはかなりの時間がかかることが予想されます。しばらくは、インターネット投票には期待せずに、投票所に行くことが必要になりそうです。
まとめ
僕自身、なぜインターネット投票が解禁されないのか漠然と疑問をいだいていましたが、「秘密投票主義の維持」という決定的な理由があることが知って納得しました。
面倒ではありますが、投票には自分で行く必要があると改めて感じました。将来的にはこうした問題を解決して、家などで投票できるようになれば嬉しい限りですが、あまり期待はしないようにしていきます。
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